演奏へのアプローチ

ピアノ演奏はアプローチの仕方が大切です。

昔の私はそれが上手くいっていませんでした。

まず譜読みをして楽譜どおりにきちんと弾けるようになったら曲想、表情をつける。そして最後に暗譜をする。幼い頃からずっと、大学(音楽科)を卒業するまでそんな練習をやっていました。

「取りあえず弾けること」を目指して一生懸命だったような気がします。

ドイツ人の先生にめぐり会い音楽、演奏のあり方を根底から見つめ直し、さらにアレクサンダー・テクニーク等の学びを通して精神や身体を整えることも覚えた今、そのやり方は変わりました。

まず音楽を理解し、歌う(ピアノで歌う)ことから入っていくようになりました。そのためには曲想も楽曲分析も始めから必要になります。自分の声としてピアノに歌わせるためには音楽を自分の中に取り込まないと演奏できないと気づき、暗譜もなるべく譜読みの段階から取り組むようになりました。

全く逆方向からアプローチするようになったのです。

以前のやり方はまず「形」を作ってからその中身を詰めていく。そんなイメージでした。なかなかその芯には辿り着けなかったように思います。

今はいきなり芯の部分から始める。中心からだんだん大きく膨らんでいった結果として「形」が形成される。そんな感じです。

このやり方になり、曲の仕上がる時間は劇的に短くなり、質も格段に上がりました。

私は随分遠回りもしましたし、今から振り返ると根本的な勘違いもありました。

ピアノが好きだったのか辞めたいと思ったことはなかったのですが、幼い頃からこの間違いが無ければ、良い感覚が育っていたら…という思いはあります。

レッスンではひとりひとりの力とやる気を見極めながら、良いアプローチを身に付けられるよう手助けをしています。



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