クレッシェンドは何故?

ドイツ人のシュニーベルガー先生に習い始めてから間もない頃、レッスンで曲を弾いていた時に「ちょっと待って!そこどうしてクレッシェンド(だんだん音を大きく)するの?」と言われた事がありました。

先生は楽譜とにらめっこしながら私の演奏を聴いていたわけではありませんでした。

「だってここクレッシェンドって書いてあるから…」と答えたのですが、先生の言いたいことはそういうことではありませんでした。

クレッシェンドになるという事は音楽の流れとして例えば緊張感が増してくるとか、気持ちが高ぶってくるとか、何かがあるから結果的に(その表現として)クレッシェンドになるんでしょ?というような事でした。

楽譜を見ていないからこその指摘だったかもしれません。そういうものが感じられないのに何故クレッシェンド?となったわけです。

「書いてあるから」やるクレッシェンド…それは確かに違うと思いました。

それから20年以上が経過していますが、このエピソードは強烈に覚えています。殆どカルチャーショックと言ってもいい出来事でしたから。

音楽を捉えた上で演奏することの大切さを教えられた第一歩だったと思っています。


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